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東京新聞

母乳育児ママに寄り添う 富士に「桶谷式」助産院

母親の産後ケアに取り組む篠田一世さん(左)と山田敬子さん(右)=富士市瓜島町で

 

 静岡市清水区や伊豆の国市の助産師三人が、富士市で母乳育児のサポートに特化した助産院「富士母乳育児相談室」(瓜島町)を開いている。遠方から通う母親の負担を減らしてあげたいとの思いで今年二月、開業した。新型コロナウイルスの感染を防ぐために外出を自粛するなど、以前よりも育児に悩みを多く抱える母親たちに寄り添っている。(佐野周平)
 開業したのは、いずれも清水区の篠田一世さん(52)と宮田涼子さん(42)、伊豆の国市の山田敬子さん(68)。三人とも独自のマッサージ法で乳房の調子を整える「桶谷(おけたに)式」の認定者だ。地元での活動も続けながら、日替わりで富士市に出張して対応する。富士保健所によると、市内の助産院は四カ所目。
 これまで県東部で桶谷式の助産院があるのは伊豆の国市だけだった。山田さんは「『桶谷式だから』と、遠方から来る人が多かった。私が第一線を退いても、ここが残ってくれるので安心した」と語る。
 開業から間もなく、新型コロナの拡散という課題に直面した。オンライン相談の受け付けも始め、院内が混み合わないように予約数を制限しながら営業を続けた。
 ただ多くの母親が、実家の親や友人との接触を避け、家に閉じこもりがちになるなど、コロナ禍で育児に息苦しさを感じているという。四月に第一子の長女を出産した富士市の女性(37)も、市外に住む母親が育児を手伝いに来られなくなった。女性は、「一人だと不安も大きい。近くに助産院があるので安心感がある」と感謝を口にする。
 篠田さんは「ただでさえ母親は育児で孤独感を感じやすいのに、さらに大変な状況になっている。精神的な余裕も育児には大切で、困った時に気軽に駆け込める場所にしたい」と語る。
 四月から富士市の産後ケア事業に参入し、外来に加えて、母親が子どもを預けて日中滞在する日帰り型や、訪問型のサービスも行っている。完全予約制。問い合わせは同相談室=電0545(67)5854=へ。

 

 

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